今年の1月に年収ランキングを投稿しました。2021年12月決算の有価証券報告書が3月に各社から公表されているので、データを更新しました。
これから建設コンサルタントに就職しようと考える方や、建設コンサルタントに転職しようと考えている方にとって、建設コンサルタント職員が一体どれくらいの年収をもらっているのか気になっているかと思いますので、調べてランキングを作成してみました。
建設コンサルタントの年収ランキング
建設コンサルタントの年収ランキングを発表していきましょう。データは、有価証券報告書に記載事項の【従業員の状況】に提出会社の状況として平均年間給与(円)が必ず記載されており、その数値を並べています。
表中の水色の行はデータが更新された会社です。順位が随分入れ替わっています。
1位は(株)建設技術研究所 904万円
(株)建設技術研究所は、建設コンサルタントの中でもビッグ3に入る会社です。
前期(2021.12)公表された年収から5.2%上昇しています。すごい上昇率です。
さらに、建設コンサルタントのベースアップを先導するような高給取りの会社との噂でも有名です。役付きの方は1,000万円超えではないのと噂されています。建設技術研究所のHPを見ていると下図が掲載されていました。40歳代で1,100万円超えしています。さすが、建設コンサルタントのトップランナーと噂されるだけのことはありますね。噂でなく現実です。さて、50歳代だといくらもらっているのでしょう。気になりますね。
2位はE・Jホールディングス(株) 897万円
E・Jホールディングス(株)という会社は、エイト日本技術開発(株)が中核となって日本インフラマネジメント(株)、(株)近代設計など多くのグループ会社を有するグループを統括運営する会社です。グループ会社の方向性を決めるなど経営の頭脳集団が集まっているので、人数も少なく高齢になっています。という理由から、建設コンサルタントの職員の年収として表記するのは少し違うかなぁ。と思いましたが、参考に見ていただければいいかなと思います。
エイト日本技術開発(株) のHPをみると年代別の平均年収が記載されていました。
・20歳代 518.9万円
・30歳代 657.9万円
・40歳代 936.2万円
・50歳代 1014.0万円
・60歳代 1011.8万円(65歳定年制)
この平均年収からみるとホールディングスの社員並みの平均年収かもしれません。
3位は(株)構造計画研究所 861万円
(株)構造計画研究所を建設コンサルタントの年収に掲載するのが良いか悩んだ会社です。なぜなら、構造計画研究所は建設コンサルタント登録していないからです。しかし、事業内容は、建設コンサルタントに密接にかかわりあいのある耐震解析システムなどを多数開発・販売をしており、建設コンサルタントに従事している方だとお世話になったと思われるからです。
4位は(株)NJS 827万円
(株)NJSの年収は、前期比約5.4%上昇しています。上下水道分野に強みを持つ企業です。いち早く70歳定年制を採用しています。募集要項に総合職のみの平均年収が922万円(2021年12月実績)と記載されています。(なお、前期は909万円(2020年期実績)と記載されていました)
5位は人・夢・技術グループ(株)(長大) 800万円
表記は表記は人・夢・技術グループ(株)としていますが、数値は(株)長大(2020.9決算)のものです。2021年10月からグループ経営に代わっています。長大と云えば、明石海峡大橋をはじめとして本四架橋に多く携わった長大橋に強い会社です。最近は、色々な事業分野に拡大しているようです。びっくりしたのは、インドネシアで現地企業と共同で小水力発電事業を開始したとニュースでした。
ホールディング制となったので、今後は長大単独の平均年収が把握できません。
6位はDNホールディングス(株) 773万円
DNホールディングス(株)は、大日本コンサルタント(株)と(株)ダイヤコンサルタントが2021年7月に経営統合した会社です。もともと違う給与体系だったのに経営統合したら同じ給与体系になるのでしょうか。DNHDもホールディングス制となったので大日本コンサルタント単独の年収が分からなくなります。
7位はアジア航測(株)752万円
アジア航測(株)は、航測会社ですが、建設コンサルタント業務も多く受注されている会社です。前期比8.2%上昇しています。測量分野では、第3位のシェアを有しています。
8位はいであ(株)714万円
いであ(株)は、建設環境分野でトップの会社です。2006年に、環境部門において業界トップの国土環境株式会社と、河川や道路部門に強い日本建設コンサルタント株式会社が合併してできた会社です。河川、砂防および海岸・海洋部門や港湾、水産と云った水に関わる分野に強みを持つ会社です。
9位はオリジナル設計 713万円
オリジナル設計(株)は、上水道、下水道部門に強みを持つ水コンサルタントです。上下水道部門の業務をしていることもあり、全国の都道府県に支社や営業所を配置している会社です。
10位は日本工営(株) 697万円
日本工営(株)の年収は、前期に比べて2.5%下落しています。何か原因があるのでしょうか。
公表されている有価証券報告書からは、把握できませんでした。従業員数が増えているのですが、平均年齢や平均勤続年数も下がっています。高齢者が大量に退職されて若手が入社したのでしょうか。
2024年6月期をめどに新会社を設立し、現在の日本工営とグループ会社約80社を傘下に置く持株会者としてホールディングス化すると報道されています。
国内最大手の建設コンサルタントです。日本工営(株)のHPにはモデル賃金について記載がありませんでした。
グループ会社の玉野総合コンサルタント(株)の中途採用情報を見ると下記の記載がありました。
日本工営(株)は、玉野総合コンサルタントの親会社ですので、下記のモデル賃金より高いのは間違いないと思いますので参考程度にしてください。
・年収イメージ ※本社勤務、賞与3.8ヶ月、残業30時間/月の場合
(25歳、未婚、実家:445万円)
(30歳、既婚、賃貸、子供1人:530万円)
(35歳、既婚、持ち家、子供2人:600万円)
(40歳、技術士取得:700万円、技術士未取得:660万円)
(45歳、技術士取得、課長:780万円)
なお、玉野総合コンサルタント(株)と日本工営(株)の都市空間事業との組織統合が2022年7月1日予定されています。統合後は商号を「日本工営都市空間株式会社」となるということです。
また、日本工営(株)は、2024年6月をめどにホールディング制を検討されているようです。ホールディングス制になると、年収把握も困難になります。それまでは、継続します。
パシフィックコンサルタンツ(株)
パシフィックコンサルタンツ(株)は、非上場会社なので平均年収を公表していません。そこで、ホームページを見ていると中途採用の募集要項に下記のようなモデル賃金の記載がありました。参考になるかと思い掲載しました。
大卒 正社員経験10年
年収 約700万円(残業月45時間・賞与年間4.0ヶ月を想定した場合)
※月額基本給342,500円
30歳前半の年収なので結構いい年収をもらっていますね。
18位に(株)オリエンタルホールディングスで年収が12.1%下落
(株)オリエンタルホールディングスの平均年収は、前期比12.1%下落しています。オリエンタルコンサルタンツとオリエンタルコンサルタンツグローバルなどをグループ会社としたホールディングスで、経営の中核を担っており従業員が11名で構成されています。人数は昨年と同じですが、平均年齢や勤続年数を見ると人事異動があったようです。人数が少ないため、平均年収の変動が大きいのだと思います。
まとめ
建設コンサルタントの平均年収は、723万円です。総合職も一般職も併せての平均です。技術職だと10~20%高い年収となるのではないでしょうか。
年収ランキングでは、(株)建設技術研究所が1位となりました。その年収も904万円とダントツに高い金額となっています。噂通りに高給取の技術者集団のようです。
年収ランキングというタイトルですが、多くの会社の情報が収集できていないのでランキングになっていませんが、大企業や中小企業での年収差が把握できれば、将来の参考になるのではないでしょうか。
就職するからには、年収が高いところが良いですよね。そういうところは、ハードルが高いのだろうなと考えているかもしれませんが、かなずしも学歴や成績だけで決まっていないように思います。
筆者が土木学会のとある研究会に参加していたころの話です。研究会で議論することも面白かったのですが、やはり、研究会の後の懇親会に参加するのが楽しかったですね。そんな懇親会で大手コンサルタントの社員さんたちと就活時について話したことがあります。その時、就活時の苦労や合否について話題となっていました。建設技術研究所に落ちたけど日本工営に合格したとか、逆の場合などがあり、さまざまでした。かなずしも、学歴や就職試験の出来不出来だけで合否を決めているのではないのだなぁと、話を聞いていて面白かったのを思い出します。
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